| 就業規則とは,勤務時間や休憩時間,休日・休暇,賃金など従業員が仕事をする上での条件や,勤務する上で守らなければならない服務規律などを定めた「企業内の諸規則」の総称です。 |
| 多数の従業員を使用する企業では,従業員を組織的に使用するため職場規律や労働条件を,全従業員に対して画一的・統一的に定めておく必要があります。明文の規定を置かない場合でも,企業内では,自然慣行として一定の画一的な職場規律や労働条件ができています。一般
には,これらを規則として成文化したものを「就業規則」と呼んでいます。 |
| 事業場によっては,従業員が守るべき服務規律を「従業員規則」「社員規程」「職場規律」「社則」などと呼んだり,労働条件を細分化して「賃金規程」「退職金規程」「旅費規程」など特別
の事項について別規則をつくっている場合もありますが,これらも就業規則の一部です。 |
| 就業規則の果たす役割は,次の3つに要約されます。 |
| (1) | 労働条件の画一的・統一的処理 |
| | 1日に何時間働き,賃金はいくらかといった基本的な労働条件は,労働契約を結ぶときに決まるのが普通 ですが,それ以外の細かな事項は個別の契約では定めず,雇入れ後に就業規則を適用するのが実情となっています。 |
| | 多数の従業員を組織的に使用する場合,人によって異なった取扱いをすることは事実上不可能に近く,また好ましくもありません。そのため,新しく雇用した人についても,すでに雇い入れられている従業員と同様の条件によることになり,個別
の契約で細かな労働条件まで具体的に定めることは省略され,就業規則で画一的・統一的に定めた労働条件の基準によって規律されます。 |
| (2) | 職場秩序の確立 |
| | 企業は,商品やサービスを生産・販売することにより利益を上げようとする組織体です。何人かの従業員が特定の場所に集まって,生産や販売などの仕事を効率的に処理するためには,従業員が一定のルールに従って行動しなければなりません。 |
| | また,目的を効率的に達成するためには,組織によく尽くした従業員をねぎらい,ルールを乱した者を制裁するという対応も必要です。 |
| | 従業員が守るべき服務事項を明確にし,それを厳正に守らせることにより職場秩序を確立することは,労働能率ひいては経営能率を高める原点であるといえます。 |
| (3) | 近代的な労使関係の形成 |
| | 権利と義務を明確にしない温情的・家族的処遇は,それなりにメリットはありますが,使用者の一方的裁量 によって優遇したりしなかったりする場合が多く,ときには不公平であったり,従業員に感情的不満をもたらす原因になったりします。 |
| | 従業員を使用するということは,労働契約という契約関係に基づくものですから,一般
の商取引と同様,権利と義務の関係であり,その内容を明確にしておくことが重要です。また,そうすることが従業員の人格と自由を尊重することにもなり,従業員も安心して働くことができます。 |
| | したがって,あらかじめ権利と義務を明確に定めておき,その範囲内での権利については積極的にこれを与え,義務の履行については厳格に守ることを求めるという態度をとることが,従業員の不平不満を解消し,明るい労使関係を築くもとになるといえるでしょう。 |
| | このように,就業規則は重要な役割を担い,企業経営上有用な効果をもたらすものですが,いったん制定された就業規則は,従業員を拘束するとともに,使用者も当然その規定に拘束されます。ですから,就業規則の作成・変更にあたっては,慎重な姿勢で臨まなければなりません。 |
| | なお,労働基準法は,「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に対して,就業規則を作成し,所轄の労働基準監督署長に届け出る義務を課しています。ここでいう「常時10人以上の労働者」とは,企業単位
でみるのではなく,個々の独立した事業場単位でみて常態として10人以上の従業員を使用している場合です。したがって,一時的に従業員が10人未満となっても,年間を通
じてそのほとんどが10人以上の従業員を使っている場合には,就業規則をつくらなければなりません。 |
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一方, 企業として常時使用する従業員が10人以上であっても, 事業場ごとにみると10人未満であれば, 法律的には就業規則の作成・届出義務はありません。
ただ, 就業規則は労務管理の第一歩であり, 企業経営上の効率を考えると, 作成しておいた方がよいでしょう。 |