| 労働時間とは,労働者が使用者の指揮監督のもとに労働を提供する時間をいいます。すなわち,作業の開始から終了までの時間から,休憩時間(労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間)を差し引いた,いわゆる実働時間を意味します。 |
| このように,労働時間は使用者の指揮監督下にある時間ですから,実際に具体的な作業に従事していた時間だけでなく,次のような時間も含むものとされています。 |
| (1) |
手待時間 |
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作業と作業との間に生ずる手待時間は,実際に仕事をしないで休んでいるとしても,仕事があればいつでも仕事にとりかかるための待機の時間であって,その時間を自由に利用できる休憩時間とは異なり,労働時間とされます。 |
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したがって,貨物取扱いの事業場において,貨物の荷扱係がトラックの到着を待っている待機の時間帯や,トラックに運転手が2名乗り込み交替で運転する場合に,実際に運転せず助手席で休息または仮眠している時間帯なども労働時間です。 |
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手待時間か休憩時間かの区別は,使用者の指揮監督のもとにあるか否か,労働者が自由に利用することが保障されている時間であるか否かによります。 |
| (2) |
作業の準備・整理時間 |
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所定の始業時間前の準備時間や終業時間後の整理時間については,それが所定労働時間内の労働に密接な関係を持ち,必要不可欠なものであれば,労働時間に含まれます。 |
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ただし,作業衣や保護具(安全具,安全靴)の着用に要する時間を労働時間に含めるか否かについては,判例が分かれています。 |
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労働時間に含めないとした判例は,作業衣等の着用は労働力提供のための準備行為であって,使用者の直接の支配下においてなされるわけではないから,一律に労働時間に含めるのは使用者に不当な犠牲を強いることになるとして,「就業規則にその定めがあればこれに従い,その定めがない場合には職場慣行によってこれを決するのが最も妥当」としています(最高裁判決・昭和59年10月18日=日野自動車工業事件)。 |
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一方,労働時間に含めるとした判例では,作業衣や保護具の着用が労働安全衛生法,就業規則等により義務づけられ,上長の指示による場合には,着用に要する時間を必要不可欠な準備行為であると認めています(東京高裁判決・昭和59年10月31日=石川島播磨重工業事件,長崎地裁判決・昭和62年11月27日=三菱重工長崎造船所事件)。 |
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なお,門から職場までの歩行時間や作業終了後の入浴時間などは,労働時間に含めないとするのが一般的です。 |
| (3) |
教育,研修への参加時間 |
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労働者が使用者の実施する教育,研修に参加する時間については,就業規則上の制裁等の不利益な取扱いによる出席の強制がなく,自由参加のものであれば,労働時間とはなりません。 |
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なお,労働安全衛生法に基づく安全衛生教育は,労働災害の防止を図るため,使用者の責任において実施されなければならないものですから,その実施に要する時間は労働時間となります。 |
| (4) |
健康診断の受診時間 |
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労働者の健康診断の受診については,労働者一般に対して行われる一般健康診断と,特定の有害な業務に従事する労働者に対して行われる特殊健康診断とに分けて考えなければなりません。 |
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一般健康診断は,一般的な健康の確保を図ることを目的として使用者にその実施義務を課したものであり,業務遂行との関連において行われるものではありませんから,その受診のために要した時間については,当然に使用者が負担すべきとはいえません。しかしながら,労働者の健康確保の観点から,受診に要した時間は使用者負担,すなわち労働時間とするのが望ましいとする考え方もあります。 |
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他方,特殊健康診断は,事業の遂行にあたって当然実施されなければならない性格のものですから,その実施に要する時間は労働時間とみなされます。 |
| 労働時間となる時間,ならない時間を一覧表にまとめると,図表1のようになります。 |
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| 図表1 労働時間となる時間,ならない時間 |
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| また,近年のわが国の労働時間の推移をみると,図表2および図表3のようになっています。 |
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| 図表2 実労働時間数の推移 |
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| 図表3 事業所規模別月間労働時間数の推移 |
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