目次人事・労務管理実務相談Q&A



daiya人票記載の労働条件は労働契約の内容となるか
 

 公共職業安定所を通じて求人を行う場合,求人票を職安に提出しますが,求人票に記載した労働条件は,そのまま労働契約の内容となるのでしょうか。

求人者が公共職業安定所に求人の申込みをするのは,法律上申込みの誘引にすぎず,求職者が職安を通じて応募するのが契約の申込みであると解されます。したがって,求人者が職安に提出し,求職者にも知らされた求人票記載の内容が,ただちに労働契約の内容になるとはいえません。
 しかし,求人票に記載され,求職者に提示された労働条件は,求職者がこれを信頼して労働契約を締結するかどうかを決定する上での重要な要素であることは間違いありません。一方,求人側としても,その労働条件で人を雇い入れようとするからこそ,求人票に記載するわけです。また,法律も,求人,紹介の段階で,すでに労働契約の内容となるべき労働条件が明示されることを求めています(職業安定法第5条の3第2項)。
 このような求職者の求人票に対する信頼性や制度の趣旨などから考えて,求人者が求人票に記載し,求職者に提示された労働条件は,その後の過程で求人者,求職者の合意でこれを変更したと認められるような特段の事情が認められない限り,その後に成立した労働契約の内容となるでしょう。
 これについては,判例でも「公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は,当事者間において求人票記載の労働条件を明確に変更し,これと異なる合意をする等特段の事情のない限り,求人票記載の労働条件のとおり定められたものと解すべきである」としています(大阪地裁決定・昭和58年10月19日=千代田工業事件)。
 ただし,求人票に賃金の「見込額」が記載されていた場合については,その額がただちに労働契約の内容となるわけではなく,「入社時までに確定されることが予定された目標としての額」です。もちろん,求人者が恣意的にこの見込額を著しく下回る額で賃金を確定することはできませんが,やむを得ない事情があるときは,見込額と異なる賃金額を決定しても構いません。


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