|
労働者供給事業が禁止されているのは, 供給元の事業者が責任を負わずに利益を中間搾取して労働者を供給し, その労働者が供給先において劣悪な労働環境で酷使されるおそれがあるからです。
労働者派遣は労働者供給の一態様であることから, 両者の区別は容易ではありません。 そのため, 厚生労働省は, 労働者供給と労働者派遣の区別について,
次のような指針を示しています。
(1) 供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させる場合のうち, 供給元と労働者との間に雇用契約関係がないものについては,
すべて労働者供給に該当する。 その判断は, 具体的には, 労働保険・社会保険の適用, 給与所得の確認等に基づき行う。
(2) (1)の場合とは異なり, 供給元と労働者との間に雇用契約関係がある場合であっても, 供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものについては労働者派遣には該当せず,
労働者供給となる。
ただし, 供給元と労働者との間に雇用契約関係があり, その雇用関係の下に, 他人の指揮命令を受けて労働に従事させる場合において, 労働者の自由な意思に基づいて結果として供給先と直接雇用契約が締結されたとしても,
これは前もって供給元が供給先に労働者を雇用させる旨の契約があったわけではないため, 労働者派遣に該当する。
一方, 請負は, 当事者の一方がある仕事を完成することを約し, 相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約することにより成立します。
したがって, 注文主は請負業者の成果物に対して代金を支払う義務を負うにとどまり, 労働者に対して何ら責任を負うものではありません。
しかし, 請負と派遣とは, 雇用主が他人のため労働者の労働力を提供するという点では共通しており, 請負業者が労働者を注文主の事業場で作業させる場合には,
外見上, 両者の形態は非常に似通ったものとなります。
「偽装請負」 「擬似派遣」 は, 実態としては労働者派遣であるにもかかわらず, 派遣先が請負における注文主のように装い, 労働者の管理監督責任を免れようとする違法な契約です。
請負か労働者派遣かについては, 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」 (昭和61年労働省告示第37号) により,
具体的に判定することとなります。
この基準によると, 請負の形式による契約により行う業務に, 自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても, その事業主がその業務の処理に関し,
次のいずれにも該当しない場合は, 労働者派遣事業を行う事業主とされます。
(1) 次の@〜Bのいずれにも該当することにより, 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること
@ 次の ,
のいずれにも該当することにより, 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること
労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと
労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと
A 次の ,
のいずれにも該当することにより, 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであること
労働者の始業および終業の時刻,
休憩時間, 休日, 休暇等に関する指示その他の管理 (これらの単なる把握は除く) を自ら行うこと
労働者の労働時間を延長する場合または労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理
(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く) を自ら行うこと
B 次の ,
のいずれにも該当することにより, 企業における秩序の維持, 確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること
労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと
労働者の配置等の決定および変更を自ら行うこと
(2) 次の@〜Bのいずれにも該当することにより, 請負契約により請け負った業務を自己の業務としてその契約の相手方から独立して処理するものであること
@ 業務の処理に要する資金につき, すべて自らの責任の下に調達し, かつ, 支弁すること
A 業務の処理について, 民法, 商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと
B 次の , のいずれかに該当するものであって,
単に肉体的な労働力を提供するものでないこと
自己の責任と負担で準備し,
調達する機械, 設備もしくは器材 (業務上必要な簡易な工具を除く) または材料もしくは資材により, 業務を処理すること
自ら行う企画または自己の有する専門的な技術もしくは経験に基づいて,
業務を処理すること
なお, 上記(1),(2)のいずれにも該当する事業主であっても, それが労働者派遣法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって,
その事業の真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは, 労働者派遣事業を行う事業主として扱われます。
|